その21
ホントにウソな話だが、
就職活動をしていた20代のはじめの頃、わたしは朝バイトをしてから専門学校の授業へ出て、夜には企業から出された課題に取り組むという生活を送っていた。
デザイン系の仕事を探してわたしは夜な夜なパソコンとにらめっこしていたが、ある時どうしても睡魔に耐えきれなくなった。
これでは効率が上がらない。30分だけ寝よう、とわたしは思った。
ソファに横になり眼を閉じるとあっという間に眠りに落ちた。
すっかり眠り込んでしまったという感覚があった。やばい、と眼を覚ますが、頭はすっきりとしており、身体も軽い。これは30分だけのつもりが数時間眠りこけてしまったに違いない。
目覚ましをかけておくべきだったと悔やむがもう遅い。
すぐにバイトの時間になるだろう。課題を取り組む時間はない。単位に余裕のある授業を休むしかないか、と思った時、時計が眼に入った。
PM11時43分
なんとソファに横になってから2分しか経過していなかった。
だけど‥‥まるで何時間も寝たかのように身も心もリフレッシュしている。
まさか、ぐるっと24時間眠りこけてしまったわけではあるまい。日付を確かめるが、間違いなく同じ日付だ。
わたしは狐につままれたような気になった。
そして睡眠時間とその質について、まだまだ解き明かされぬ謎があることをその夜知ったのだった。