その4
ホントにウソな話ですが、
わたしは亀を3度助けたことがある。
はじめは日本で一番大きな湖のほとりの道路のことで、亀が車道を横断していたので拾って水辺に戻してやった。
マリオカートでいえば、追跡型の赤い亀ではなく、緑色の甲羅の普通のやつだった。
そういえば金亀城とも呼ばれる彦根城を観光したあとなので、その日は亀づいていたのかもしれない。
その後、数年をまたいで地元の道路で亀を拾い、また水辺に戻した。この日は墓地のそばの貯水池から動物園の方へ向かっていた。
さらに数年後、3度目の亀。これも何の気まぐれか知らないが、水のある場所から這い出て、環境の険しい新天地に突き進んでいた。
いつも車に乗っているときに車道にひょっこりと現れる。
同乗者がいる時に現れる。
以上の2点がわたしが亀に出くわす法則である。
それにしても、亀とは見かけによらずひとつの場所に安住しない冒険者精神溢れる生き物なのだ。
助けたと言ったが、亀が助けてくれと言ったわけでなく、亀の命を賭した進行を妨げただけなので感謝などされていないかもしれない。
亀にとってはきっとありがた迷惑なのだろう。
ただ交通量の多い道路を亀が横断しているのを放置するのは忍びなく、お節介だと思いながらも救助してしまう。
それでもわたしは亀が現れ続ける限り、手を差し伸べるだろう。それがわたしの亀に対する変わらぬスタンスだ。