ホントにウソな話

100個の嘘を書きためていきます。

その28

ホントにウソな話ですが、

 

 

わたしはトム・クルーズが大好きだ。

20代のはじめの頃は、好きという気持ちがピークで、わたしは居ても立ってもいられず、トムが映画の撮影で滞在しているというメキシコに飛んだ。

 

はじめての海外旅行。

わたしはよりによってメキシコというハードで危険度の高い場所を選んでしまった。

トムの滞在するというホテル(後にその情報はガセだと知る)にタクシーで乗り付けたわたしは、勇んでエントランスに乗り込もうとした。

 

が、料金を払ったタクシーは、、、、

 

なんとわたしの荷物を全部トランクに乗せたまま走り去ってしまった!

 

お金もパスポートもそこに入っている。わたしが持っているのは唯一、トムに折ってあげようと思って持っていた折り紙だけだった。

 

すべてを失ったわたしは道端の大道芸人の横で折り鶴を売って日銭を稼いだ。

お茶を奢るというメキシコ人が何度も現れたが、わたしによくしてくれる大道芸人たちは「睡眠薬が入っているからやめろ」と警告してくれた。

 

油断できない。そして帰れない。

 

警察が探しにきたが、なぜか逃げてしまった。母国で心配していた両親が手を回して警察を動かしてくれたのだが、わたしは何故か警察に捕まったら牢獄行きだと思い込んでおり、逃亡者のように逃げ回っていた。

 

2週間ほど経った頃だろうか、やがてついに警察に捕まることになる。

 

それからもなんやかやあったものの、どうにか帰国することができた。

 

トム・クルーズに折ってあげるつもりだった鶴は、すべてメキシコ人の手に渡ったが、今思えば、それも悪くはない。