その30
ホントにウソな話ですが、
わたしの実家は、ある車種のクラシックカーの販売や修理をやっている。
若い頃から先進的だった父の趣味で、うちの実家はロッジ風で昭和の当時としては珍しい住居だった。
家の隣には洋風のガレージがあり、地域でもかなり目立つ家だったろう。
そこへある日、ふたりの男がやって来た。
同じ建物で母がカフェをやっていたのでそこへ、編集者に連れられて来たのは、ある漫画家だった。
なんとそれはDrスランプ連載前の鳥山明だった。
うちのちょっと珍しい建物を取材しに来たらしい。鳥山明は、カフェでコーヒーを飲み、いろいろとこの建物について母親に質問した。
彼を新進の漫画家と知った母は、鳥山明に母屋を見せてやり、仕事中だった父にも紹介した。
その後、連載が始まったDrスランプは人気を博し、鳥山明はみるみるうちに人気漫画家へと成り上がった。
以来、鳥山明がうちへ訪れることはなかったが、始まったDrスランプにある面白いものを発見した。
なんと、アラレちゃんの生みの親であるノリマキ博士はうちの父にそっくりで、ノリマキの妻であるミドリさんは若き日の母親そっくりだった。
そしてペンギン村のアラレちゃんたちが住む家は、どこかうちの実家に似ている。
思い込みかもしれないが、きっと鳥山明は、うちの家と家族をモデルに漫画を描いたのだろう。
齢を取った母親は、ミドリさんにあまり似ていなくなってしまったが、父親はますますノリマキ博士にそっくりになってきた。