その23
ホントにウソな話ですが、
わたしには娘がいる。ある日、娘が学校で友達の消しゴムを見て、色も可愛いしいい匂いもするということで、めっぽう気に入り「Yちゃん、わたしもこれ欲しい。これよかったら私の分も買ってきてよ」と頼んだらしい。
Yちゃんは「いいよ」と快諾してくれた。
娘はもちろん、代金を払うつもりだったし、Yちゃん自身も仲良くお揃いの消しゴムを使うことを喜んでくれていたようだった。
しかし、相手の親はそれを恐喝と受け取った。
なぜか同じ消しゴムをひと箱分買って、Yちゃんに学校に持たせて来た。不審に思った先生が事情を聞くが要領を得ない。親御さんに尋ねると、うちの娘に脅されてYちゃんが使い走りにされているという。
そんなに消しゴムが欲しいなら、たんまり買ってやるから、娘をこき使わないで欲しいという訴えだ。
わたしは仕方なく、ひと箱分の消しゴムの代金を支払い、穏便に事を済ませた。
しかし、二人の少女の友情に亀裂が入ってしまったことは間違いない。少なくともYちゃんの親はうちの娘と関わるなとYちゃんを諭しているはずだ。
わたしは呆れてモノも言えなかった。たかが消しゴムひとつを頼んだくらいで、恐喝と騒ぎ立てるとはどういう親なのだろう。
モンスターと呼ばれる親がいることは知っていたが、この事件でますますその実態を思い知らされた。
ちなみにうちの娘はいま小学3年生だが、高校に上がるくらいまで、大量にストックされたあの消しゴムを使うことになるだろう。