その18
ホントにウソな話ですが、
わたしはある難病を患っている。
一度は症状が悪化し、生死の境を彷徨った。
なんとか症状が安定してから、数年が経ち、わたしは京都のある寺院を訊ねた。
そこで護摩木に「病気がよくなりますように」と願いを込めて書いた。
書いた護摩木を動画に撮り、次に手にもった位置で写真に収めた。
動画と写真の時間差は一分ほどだった。
護摩木を納め、寺院をあとにしたわたしは、ふとさっきの写真を確認してみた。
不思議なことに写真の護摩木には「病気がよ なりますように」となっていた。
「く」が消えていたのだ。
動画の方を見てみるとちゃんと「病気がよくなりますように」と書いてある。写真の護摩木の「く」だけが丸ごと消えているのだ。
わたしは気味が悪くなり、同行した友人にそのことを告げた。
すると友人は動じることなくこう言った。
「それは苦しいの“く"だよ。“く”が消えたってことは苦を取り除いてくれたんだね」
それは友人の機転というより、何か天啓が降りたようだった。
わたしはすんなりとその言葉を受け入れた。
そして以来、病気は治ってしまった。