その15
ホントにウソな話だが、
ある日、わたしはレンタルDVD屋さんでDVDを借りた。
数枚のアダルトDVDをレジに置いたのだが、手続きを進めながら店員さんがこう言った。
「この〇〇という作品ですが前にも一度お借りになっています。大丈夫ですか?」
わたしは冷水を浴びせられたような気分になった。
店員が異性だったこともあるが、わざわざそんな確認をしなくてもいいのに、と強く思った。
確かに二度目だと気付いていたわけではない。知っていたら借りなかっただろう。だとしても、他の客も並ぶ中、そんな確認されるのはとても恥ずかしかった。
「だ、大丈夫です」
わたしは眼を泳がせ、わなわなと唇を震わせながら、なんとかそう答えた。
「そうですか。ありがとうございました」
店員は罪の意識など微塵もなく業務を続けた。
わたしは怒りと恥ずかしさの入り混じった濁った感情でふわふわと酩酊しながら車で帰路についたが、どうやって帰ったのかおぼえていない。