その12
ホントにウソな話ですが、
わたしは難病と言われる潰瘍性大腸炎を患い、一時は止まらない下血と絶食のため本当に死に瀕していた。
入院中、わたしはまたもやトイレで大量の下血を引き起こし、気を失った。
眼を覚ますと輸血されており、げっそりと痩せた下半身にオムツを履かされていた。看護婦によると、ナースコールが鳴ったので駆け付けたところ、わたしが倒れていたらしい。
ナースコールが鳴らなければ、わたしは手遅れになっていたかもしれない。ナースの巡回時間ではなかったし、個室にわたしのピンチを知らせてくれる同室の患者はいなかった。
自分で無意識のうちにナースコールを押したとしか説明できないが、まったくそんな記憶はないのだ。
実を言うとわたしは当時、この病気にほとほと嫌気が差し、神様に殺して欲しいと願っていた。今度下血したら死ねるかもしれないと期待すらしていたのだ。
そんなわたしが自分でコールするとは思えなかった。
しかし、真実はどうであれ、ナースコールは鳴り、わたしは命を取り留めた。
そしていまも生きている。