その9
ホントにウソな話ですが、
わたしはある秘密結社に属している。
よく知られるフリーメイソンやイルミナティではない。中国系の結社であり、日本における人口は数十人といったところだろう。ただし、世界的にはまだまだ大きな影響力を持っている。
わたしは20代の頃に中国は西安に暮らしていた。その後、台湾で日本語教師をしていたことがあるのだが、そこである人物と出会い、さまざまな経緯を経て結社に入ることとなった。
いくつか厳守しなければならない掟はあるが、とりたてておどろおどろしいものでもないし、竹連幇のような黒社会の組織とも異なる。
また結社員だからといって何か特別な任務が課せられることもない。例会もないし、会報もなく、普段は結社員であることも忘れている。
一度だけ結社を通して、唐代のものだという硯が届けられたことがあったが、あれに何の意味があったのかいまでもわからない。