ホントにウソな話

100個の嘘を書きためていきます。

その5

ホントにウソな話ですが、

 

子どもの頃、まだDVD が普及する以前のこと。

 

ビデオデッキの時代。わたしは新品ではないが、タイトルのシールが記入されていないビデオを見つけた。隠してあったわけではない。両親が無造作にテレビのラックの中に放り込んであった。

 

その日、家にひとりきりだったわたしはなぜかそれを再生してみようと思い立った。

 

すると、そこに映っていたのは両親の性行為だった。いまならそんな趣味があったのかと理解できるが、子供の頃のことだ。何がなんだかわからず、ものすごい衝撃を受けた。

 

しかし、あとから考えて奇妙だったのは、そのビデオの画面が動いていたことだ。クローズアップしたりわずかにパンしたりしていた。つまり据え置きのカメラではなく、カメラマンがいたということだ。

 

当時はそこまで気が回らなかったが、今考えると子供の頃とは別種の衝撃がある。

 

いったいどのような経緯で第三者にあれを撮らせたのだろうか。誰が撮ったのだろうか。

 

母は存命だが、もちろん聞く勇気はない。

 

人生には死ぬまで解けないし、解いてはいけない謎もあるのかもしれない。